2017 年 32 巻 5 号 p. 69-72
筆者らは,動物園において,動物の形態と行動の科学的な観察を支援するために,アニメーショ ンを用いた観察・学習支援システム( 以下,システム) を開発した.このシステムは,アニメーションを利用して,動物の骨の形態と行動に関する観察の視点を3 択クイズ形式で子どもに提示する.クイズ内容は,ペンギンの泳ぎ方,歩き方,翼の骨,足の骨であった.システムの観察・学習支援の有効性を明らかにするために,システムを用いたワークショップを実施した.ワークショップでは,ペンギンの観察前に子どもに正解を予想させ,観察中に再度クイズに答えさせた.さらに,ワークショップ終了直後とワークショップ1 ヶ月後に面接を実施し,これらの面接時にも同様のクイズに回答させた.本稿では,これらの選択肢の正誤を分析した.その結果,開発したシステムは,観察項目によって,観察支援および学習支援の有効性が異なることが明らかになった.