国際調査等の結果をみると,日本の児童・生徒は社会と数学のつながりを十分に感じて いるとはいえない状況にある.したがって,これからの数学教育には「現実と数学のつながり」を児童・生徒に認識させるような取り組みが求められている.そこで,本稿は児童・生徒が現実と数学のつながりを意識できていない現状の原因とその解決策を提案することを目的とする.数学の方法の大局的視座として阿部(2012)の主張する「応用指向の強調における構造指向と応用指向の協調」に着目・整理した上で,池田(2014)の「モデル志向」の立場から大局的な数学の方法を捉え直すことで,従来の理念では「数学→現実」の過程が十分に捉えられておらず,本過程の充実が現状の改善に有効であることが明らかとなった.