2017 年 32 巻 5 号 p. 93-96
空間認識力は,幾何学教育や建築表現のみならず,日常的な場面でも必要とされる能力のひとつである.また,学校で求められる技能の基礎に空間的な要素が含まれており,理科の天体分野や算数.数学の空間図形の分野でも必要とされている.一方,CG を利用した空間認識力の育成に関する研究が報告される中で,CG モデルの制作による効果について言及した研究は希少である.そこで,本研究は短期間でのVR 環境における3 次元CG モデルの制作活動による空間認識力育成の効果について検討することを目的とした.評価の結果,本実践におけるCG 制作活動によって,小・中学生および大学生・大学院生のMRT の得点が高くなったことが明らかになった.また,主観評価の結果から,小・中学生は大学生・大学院生と比較してCG 制作活動に対する興味や意欲が高く,空間認識の重要性や本実践における空間認識の向上を感じたことが示された.