来年度から一部を移行措置として実施される中学校の新学習指導要領では,「日常生活との関連」や「自然体験の充実」の重視が打ち出された。しかし,教科書に掲載されているにもかかわらず,実物の昆虫を用いた観察の授業は,あまり行われていない。地域にもよるが,近年,学校周辺で昆虫を採集することが容易ではなくなってきている。
ところが,「セミのぬけがら」は,注目すれば学校周辺で比較的たくさん見つけることができる。さらに,「セミ」は小学校の教科書(生活科・理科・国語)に多数掲載されており,他教科・他校種とのつながりとしても有効である。そこで,「セミのぬけがら」を教材にして「昆虫の体のつくりの観察」の授業を試みた。まず,「セミのぬけがら」の教材としての利点および留意点について考察することからこの研究を始めた。