2018 年 32 巻 8 号 p. 55-58
本研究は,実際の高等学校理科授業で行われた教師の発問を題材とし,その特徴を定量的に計測したものである。平成16 年から平成29 年にかけて,県内21 校の若手からベテラン47 人(内訳は,男性37人,女性10 人)による60時間分の理科授業を参観した結果を分析対象とした。分析対象中における教師の発問を,山岡(2010)による発問分類法を用いて,教師の発問を「科学用語」「計算」「現象説明」「理由説明」「図・グラフ」といった内容形式の観点から分類し,検討を行うことにした。その結果,理科授業中の発問の約7 割が,「科学用語」で構成されていたことが分かった。また,「科学用語」「計算」「現象説明」で全体の90.2%を占めていたことから,理科授業中の発問の約9割が,科学用語を理解させたうえで計算,現象説明ができること求める発問で構成されていたことが分かった。さらに,生物に焦点化して,男女別に集計し,分析したところ,女性の理科教師の方が現象説明や理由説明を多く取り入れていることが明らかとなった。また,科目別では,各科目とも最も多いのは科学用語で,二番目に多いのは,物理,化学で計算,生物,地学で現象説明であり,科目別の特徴も明らかになった。