2018 年 32 巻 9 号 p. 37-42
本研究では,小学校教員が理科の授業で教科書をどのように活用しているのかについて,広島市内の小学校教員に実態調査を行い,その結果をまとめ,小学校理科授業における教科書活用の実態と実践上の課題を明らかにすることを目的とした。調査の結果から,理科の教科書は,教員が「毎回活用している」割合が46.2%で,国語,算数に比べて低いこと,児童の授業中の使用についても「毎回使っている」割合が22.7%で低いことが分かった。その理由として,「理科の教科書には答えが載っているから,児童に読ませたくない」という理由が過半数以上であることが明らかになった。また,小学校の理科教科書は,児童のためでなく,教員自身が授業を展開していくために活用されていることが明らかになった。