日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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発表
オームの法則を理解するための電流概念の形成
岩本 幸恵猪本 修
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2019 年 33 巻 7 号 p. 9-12

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抄録

中学校第2学年の理科のうち「電流とその利用」の単元で学習する「オームの法則」は,中学生が最も苦手とする事項の一つである.この苦手意識の要因を探るため,大学生及び大学院生に意識調査を行ったところ,オームの法則を理解できていない学生の多くは電流と電圧の概念が定着していないことがわかった.その一因として,現行の教科書では電流と電圧を説明する際,水流モデルを用いているが,この水流モデルはあくまでアナロジーであり,水流や水路の高低差がなぜ電流や電圧に置き換えられるか理解しにくい場合があり,誤解を生じる可能性がある.そこで,一様電場における荷電粒子の動きに基づいて,電流の可視化実験教材を開発し,電流の理解に繋げることを試みる.この可視化教材は「電流とは,電圧が加わることにより導線内を移動する荷電粒子の動きである」という概念の形成を促すことができ,のちに続く電圧,電気抵抗の理解を深めることが期待できる.

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© 2019 一般社団法人 日本科学教育学会
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