2019 年 34 巻 1 号 p. 47-50
平成29年改訂の小学校学習指導要領で4年生理科に加わった「雨水の行方と地面の様子」の学習項目について,大学生向けに実践した簡易透水実験の結果を考察した.グループ間で測定結果に差異が見られた原因は,容器内への試料の充填状況や注水にかかる時間の差異,受水槽内に流出した水による水面の変動に伴う目盛りの読み取り誤差が考えられる.改善策として,試料の充填状況の差異を小さくするために振動を与えるなどして間隙を比較的狭くさせておくこと,容器内への注水時間をそろえるために測定手順の説明においてより具体的な指示を加えること,受水槽内の水面の変動に伴う読み取り誤差については,ろ過の手法を想起させ漏斗の脚を受水槽に沿わせるよう指示することで改善が期待できる.これらのことを踏まえ,児童実験を行う場合には,粒度の異なる湿らせた2試料に,給水装置を用いて透水状況を同時に観察させることを提案する.