日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
発表
諸感覚を働かせた自然理解について
~小学校中学年児童の果実観察より~
坂田 紘子溝邊 和成岩本 哲也流田 絵美平川 晃基佐竹 利仁
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2020 年 34 巻 10 号 p. 33-36

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抄録

本研究の目的は,「諸感覚を働かせた自然理解」の基礎的調査の一環として,諸感覚を活用した果実のとらえ方について,その特徴を明らかにすることである.小学校3・4年生を対象に「果実を観察し,その果実を再度選び出したりもっと調べたいことを見つけたりする」活動を個別に行い,動画や観察記録から分析した結果,次の点が明らかとなった.1点目は,主に模様や形について視覚を活用して観察し,果実をとらえる傾向があった.2点目は,観察した果実を再び選び出す際には,観察開始からすぐにとらえた内容を根拠として挙げて確かめていることが多いことや,その順番にとらわれず,追加情報を用いて確認することであった. 3点目は,新しい発見は,感覚内での多様化や感覚間統合による生成が起きるとともに,問いが生まれるときには,諸感覚で得られたことに触発され,これまでの経験や既存の知識と結び付けて思考し,さらに深く検証したり,認識の違いを確かめたりしたいという思いが生じたことであった.

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© 2020 一般社団法人 日本科学教育学会
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