小学6年生児童は,理科について約90%という高い割合で,現時点また将来に渡っても役立つものであるという意識を持っている。「理科の何が役立っているか,将来役立つか」という面を詳しく見てみると,それは「学習内容(知識)」であることがほとんどであり,見方や考え方,技能が役立つということを挙げる児童は皆無である。これは,そもそも,「学習したことがどんなことに役立つか」ということを児童自身が考える場面がないと同時に,指導者もそのことを意識づけるような指導ができていないことが考えられる。「科学哲学教材」を取り入れることは,そのような学びの有用性を意識づけ,汎用生のある資質・能力を高める一つの手法として意義のある手法である.