先行研究により,異学年学習の学習課題の難易度を下学年に合わせて実施すると,上学年が物足りないと感じ,成果が上がらないと報告されている.本研究は,上学年に合わせる困難な学習課題を設定する異学年学習を実施し,評価することを目的とした.その結果,1)困難な学習課題であっても学習課題を全員が達成できる.2)困難な学習課題を設定する異学年学習を肯定的に捉えた感想が多い.3)異学年学習に対して肯定的な意識を持つ児童生徒が増加する.4)肯定班は否定班に比べ経験交換ケースの会話数が多いことが明らかとなった.以上から,本事例の異学年学習において,困難な学習課題の設定により,上学年・下学年とも学習課題を達成でき,異学年学習を肯定的に捉える児童生徒が有意に多い学習が行われたことから,異学年学習おける課題作りにおいて上学年にとっても困難な学習課題の設定することの重要性が示唆された.