2020 年 34 巻 5 号 p. 21-24
本研究では,熟達教員2名と教職未経験者4名の理科授業中の机間指導の特徴を明らかにすることを目的としている.調査1では,授業者ごとに重視する形態があるという特徴が明らかになった.調査2では,熟達教員は「学習者の教材」を見て子どもを見とっており,その他の項目も複合的に捉えているという特徴がみられた,教職未経験者の中にも「学習者の教材」を見ている対象者もいるが,視線行動に有意な差が見られなかった対象者もいた.この特徴から机間指導中の視線行動は子どもの見取りに表れると考えることができ,この学びの見取りは「学習者」など単項目のみではなく,複数項目で見とることができるようになることで,理科授業中の様々な場面から見とる力が形成されているものと示唆される.そのため,机間指導中の視線行動の特徴を明らかにすることで,よりよい子どもの見取りに繋がるものと考えられる.