本研究の目的は,子どもの算数の説明という対象に対する信念に着目することから,その変化を意図した授業を計画・実施するとともに,そこでの教師の働きかけが児童の信念の変化にどのような影響を与えたのかについて検証することであった.本研究目的達成のために,研究課題を二点設定した.第一に,これまでの研究で得られた示唆を基に,算数の説明に対する信念を変化させるような実験授業を構想すること.第二に,実験授業内でみられた教師による働きかけを分析することから,児童の信念の変化にどのような影響を与えたのかについて考察することであった.そこで本稿では,大山ら(投稿中)で得られた知見の中の,【教師の意見としての意図を含んだ発言】と【外の世界の眺望】の二点をもとに授業を構成し,実際に第5学年の児童に対して調査を行うとともに,分析を行った.そこでの抽出児童からは,算数の説明への信念として四点,信念の変化に対して影響を与えたと考えられる教師の働きかけとして二点を指摘した.