2020 年 35 巻 4 号 p. 23-26
本研究では,理科の予習時にふきだし法を取り入れる効果を検証することを目的とした.そのために,小学校第6学年理科「月と太陽」の授業実践前に自主的な活動として予習を行い,以下の2点を検証した.
①教科書を読む予習を行った学習者,教科書にふきだしを記述した学習者の予習前テスト,予習後テストを比較した.
②予習時のふきだし記述を内容別カテゴリーに分類した.
結果,予習でふきだしを記述した学習者は,教科書を読む予習を行った学習者より,予習後テストの得点が高かった.予習時のふきだし記述の内容は,「疑問」「驚き」「無知」「当惑」「疑い」「既知」「意欲」の7つのカテゴリーに分類され,「疑問」のカテゴリーに分類されたふきだし記述がもっとも多かった.ここから,予習において教科書にふきだしを記述したことは,子どもの疑問の認識を促し,予習後テストの向上に繋がったことが示唆された.