科学的探究において仮説は重要な役割を持つにもかかわらず,これまで理科の授業では仮説の立て方の指導がほとんど行われてこなかった.そこで筆者らは、複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法を開発し効果検証を行ってきた(佐久間・中村,2021).本発表では,これまでの実践における課題の改善と新たな学級や単元における実践に取り組み,提案する指導法が一貫した効果を持つかを検討した.具体的には,中学校第2学年「電流とその利用」において継続的な実践を行い,授業時の仮説設定の質を評価した.その結果,提案する指導法は従来の指導法と比べて仮説設定の質の向上に相対的に高い効果があることが示された.その一方で,授業後のアンケートでは仮説設定が難しいと感じていた生徒も依然として多く見られたことから,今後は仮説設定の題材の工夫と継続的な指導によって苦手意識を軽減できるよう取り組む必要がある.