2022 年 36 巻 4 号 p. 41-46
本研究の目的は,SOLO Taxonomyに着目し,標本データに基づく統計的推論力を捉える分析枠組みを構築することである.この目的に対して,本研究では,SOLO Taxonomyを提案したBiggs & Collis (1982) の研究を手がかりに,SOLO提案の背景と5つのレベルの特徴について整理した.そして,この5つのレベルのうち,単構造的レベル,複構造的レベル,関係的レベルが中核であり,特に,具体的号的機能様式及び形式的機能様式において,2つの学習のサイクルがあることを明確にした.また,国際統計教育研究ハンドブックを手掛かりに,統計教育研究におけるSOLOの枠組みの位置づけについて整理するとともに,2つの学習のサイクルを反映したSOLOの枠組み例とその限界について確認した.その結果,新たな分析枠組みを構築する視点として3つの視点が導出でき,それらの視点に基づき,理論的に分析枠組みを構築できた.