現在の学校教育制度において教科の独立性が高い.教員免許も教科ごとに認定され,教科の壁は厚い.日本科学教育学会においても,数学と理科(科学)の研究発表でも分かれている.しかし,この壁を取り除く試みがなされている.数学的探究,日常の数学化など数学教科から意識的に壁を取り払うことがなされているが,授業において学習内容では変化が見られない.授業改革を意識した学力テストや高大接続として出発した大学入学共通テストの問題から,教科の壁を取り払うことの困難さを見たい.STEM教育における活動は教科の壁を取り払った新しい流れを指し示していると考えられるが,今回は学校教育の目標とするべき生涯学習の視点から,この教科の壁を取り払うことの意義をとらえたい.