本研究では,企業の技能者や技術者が求める,「ものづくり人材」1)に必要な資質・能力を明らかにするとともに,中学校理科における「ものづくり人材」育成の視点を取り入れた授業を設計し,実践した.ものづくりに携わる技能者と技術者への質問紙並びにインタビュー調査より,中学校理科で育成する「ものづくり人材」に必要な資質・能力として①身のまわりのものや現象と理科を関連付けるための「関連付ける力」,②先を見通して計画を立て,開発を行うための「想像力」,③現状を把握し,より良いものや技術を創り出すための「創造力」の3つを抽出した.そして,それらの育成に向け,ものづくりの文脈を取り入れた中学校理科の授業を設計し,実践による効果の検証を行った.一単元のみの限定的な検証ではあったが,3つの能力の向上が一定程度窺えた.また同時に,生徒の理科に関連したものづくりに関する認識及びものづくりへの興味・関心が向上した.