2022 年 37 巻 2 号 p. 33-36
GIGAスクール構想による1人1台のデジタル端末が全国の小中学校で整備され,令和元年の「中学校教材整備指針」において3Dプリンタが含まれるようになったりするなど,教育現場のデジタル環境の改革が進んでいる.本研究では,デジタル端末や3Dプリンタ教材を活用して,中学校理科「水溶液の性質」の7回の授業実践を行った.この7回の授業において4つの工夫を行った.1つ目は,毎時間の授業の振り返りを,Chromebookを利用して行ったことで,2つ目は毎時間の授業にデジタル教科書を利用したことである.3つ目は再結晶の実験での結晶の顕微鏡観察でChromebook 端末によるコリメート法を導入したことである.4つ目は“結晶”の語句を学習した際に,3Dプリンタで作成した結晶の外形の模型を配付したことである.授業の振り返りを分析して,どの回でも”理解できた”あるいは“よく理解できた”の回答の割合が8割前後であり,全体として理解度が高い授業であった.