本稿の目的は,開発した振り返りカード「LEADカード」の項目のうち「Example」と「Learning」を合わせて多面的に読み解くことによって,中尾(2022)で取り上げた学習者の思考についてより質的に把握することである.そのために,構成主義的グラウンテッド・セオリー法を援用しながら「Example」と「Learning」を合わせて多面的に読み解き,学習者の思考の質的な把握を試みた.また,児童の記述を手掛かりに「Example」と「Learning」を合わせて多面的に読み解くことの効果について考察した.
その結果,複合図形の立体の体積を求める際,児童は既習の図形に帰着して考えたり,複合図形を角柱とみなして考えたりすることが分かった.加えて,求積の方法は複数あるため最適な方法を選択する必要性にも気づいている姿を掴み取ることができた.また,「Example」と「Learning」を合わせて多面的に読み解くことは,学習者の思考をより質的に把握できたり,教師の指導に活用することで指導と評価の一体化の実現に繋げられたりすることができるという示唆を得た.