2023 年 38 巻 2 号 p. 307-310
高等学校数学科の知識及び技能に関する目標は,「数学における基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする」ことである.本研究では小山(2010)で示された,数学的概念や性質,原理・法則などを数学的対象とした「数学的理解の2軸過程モデル」を参考に,生徒の数学的対象間の関係の理解を促すことを目指して開発した授業実践について,ワークシート分析とグループ活動のプロトコル分析を通して,生徒の数学的対象の理解や数学的対象間の関係の理解の状況,および,対話的な活動において理解水準の異なる生徒同士が理解を深化させる過程について明らかにした.その結果,数学的対象の理解や数学的対象間の関係の理解水準が低くても,対話的な活動により理解の水準が上昇していることが分かった.