本研究では,小学校第3学年「かげと太陽」に関する学習を事例に,科学的モデルの構築と子どもの描画機能の自覚との関連を明らかにすることを目的とした.描画機能の自覚については,Ainsworth et al.(2015)が指摘した描画機能に着目し,科学的モデルの構築については,Zangori(2018)が構造化している科学的モデリングに着目した.これらの指摘に基づき,子どもが構築したモデルと質問紙で記述した描画の自覚を関連付けて分析を行った.事例的分析の結果,科学的モデルが構築できている子どもは,描画機能における「コミュニケーションのための描画」の機能の自覚をしている傾向が高いことが明らかとなった.また,「コミュニケーションのための描画」を自覚していることで,その自覚に基づいて科学的モデリングを進めることができ,科学的モデルの構築が促されることが示唆された.