抄録
地盤情報データベースの解析により,淀川低地の沖積層地下に埋没谷地形と埋没段丘の分布と形態を推定した.その結果,古淀川の谷には2つの狭窄部が存在したことが明らかとなった.また,古淀川の谷幅は下流域で広がっており,波食作用の影響が認められた.明瞭な埋没段丘は,古淀川の谷沿いに断続的に複数認められ,古淀川および他の古河川に沿って分布していることから河成段丘と推定された.古淀川の最深河床の縦断面図では,2つの狭窄部で河床勾配の明瞭な変化がみられた.これらの変化は,狭窄部をつくるテクトニックな運動とそこでの堆積や侵食作用の結果によると推定された.古淀川の各埋没段丘の縦断形からは,古い上位の段丘ほど傾斜が緩く,段丘面の上流側では氷期の古淀川の河床に収斂している.これは,海面低下に伴う河床低下の影響が上流側へと進行した結果と推察された.