堆積学研究
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研究報告
滋賀県野洲川河畔の古琵琶湖層群(鮮新-更新統)デルタサクセッションの再検討
増田 富士雄糸本 夏実
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2023 年 81 巻 1-2 号 p. 19-26

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抄録

ゾウやシカなどの足跡化石の産地として有名な滋賀県野洲川河畔の約260万年前の古琵琶湖層群の露頭について,堆積相解析を用いて再調査した.その結果,この地層が小型の湖沼デルタの前進によってできたものであることを確認し,その堆積物の特徴を明らかにした.デルタの頂置層は分岐流路砂層,氾濫原泥層,河口州砂泥層からなり,足跡化石や立ち木化石を含む水平層である.前置層は砂泥互層で,下位の地層にダウンラップして前進した緩傾斜の構造を示す.底置層は塊状の粘土層からなる.それらの堆積物からは,通常の気象現象に伴うものと,テクトニックによると考えられる2種類の水位変動の存在を確認した.さらに,堆積構造から求めた古流向やデルタの前進方向は東から西で,従来の報告とは異なった結果が得られ,調査地の東側に存在した大きな湖沼に流れ込んでいたとする古地理に再検討が必要となった.

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© 2023 日本堆積学会
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