堆積学研究会報
Online ISSN : 1884-4715
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重鉱物の化学組成から見た北部フォッサマグナ, 小谷一笹ヶ峰地域の新第三系砂岩の後背地
柿崎 聡立石 雅昭
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1994 年 40 巻 40 号 p. 19-32

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抄録

北部フォッサマグナの西端部に位置する, 小谷一笹ヶ峰地域の新第三系は主としてタービダイトとその随伴堆積物からなる. 堆積学的には小谷地域と笹ヶ峰地域の新第三系はそれぞれ相異なる堆積システムで堆積したことが明らかにされている. 本報告では砂岩岩石学, 特に重鉱物の化学組成からこの第三系の原岩と後背地を検討した.
砕屑物の岩石学的検討は主として砂岩中の単斜輝石とガーネットの化学分析によって行った. 砂岩のモード組成の上では両地域の砂岩には相違が認められない. しかし, 重鉱物組成及び上記の重鉱物化学組成は砂岩の後背地が異なることを示している. 小谷地域の砂岩は西~南西の飛騨・飛騨外縁・美濃帯に由来し, 一方, 笹ヶ峰地域のそれは美濃・領家・三波川帯に由来したことが明らかになった. 単斜輝石の含まれる層準とその組成から, 飛騨外縁帯の斑れい岩体は上部中新統の堆積時に地表に現れ, 砕屑物を小谷地域にのみ, 供給した.

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