堆積学研究
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新潟県中央油帯に分布する中新統~更新統の堆積環境とマセラル組成の関連
大村 亜希子仁村 岳雄佐藤 肇幸保柳 康一
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2001 年 54 巻 54 号 p. 21-36

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抄録

背弧堆積盆地のひとつである新潟堆積盆地の中央油帯に分布する上部中新統から更新統を対象として, 堆積盆地の埋積に伴う堆積環境の変化とマセラル組成の関連を検討した. 外側陸棚および陸棚斜面から海盆底の海底扇状地堆積物は, いずれも陸源の vitrinite とNFAの割合が高い. 外側陸棚環境では, 海側へ向かって vitrinite の減少に伴ってNFAが増加し, デルタの分流口に近いほど vitrinite の割合が高い. しかし, 外側陸棚と陸棚斜面のタービダイト堆積物を比較すると, タービダイト泥岩の方が vitrinite の割合が高い. このことから, マセラル組成は陸からの距離だけでなく, 陸源有機物の運搬プロセスの影響を受けて変化すると考えられる. また, 陸棚斜面の海底扇状地のタービダイト泥岩では,砂岩層の薄層化に伴って vitrinite が減少し, NFAが増加する. さらに, 海盆底のディスタルレヴィー堆積物は, 陸棚斜面堆積物よりも vitrinite の割合が低く, NFAの割合が高い. これらのことは, vitrinite の割合が砂岩層の層厚すなわち堆積場への砂の供給量に比例し, 混濁流による運搬段階でのサイズフラクションの影響を受けることを示している. また, 混濁流が多くの陸源物質を運搬することによって, 海底扇状地では陸源有機物に富む泥岩層が形成される. 以上のことから, 新潟背弧堆積盆地中央部の陸棚から陸棚斜面・海盆底の海底扇状地堆積物に保存されている有機物のほとんどが陸起源であることが示された.

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