土と微生物
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土地利用および土壌管理の異なる火山灰土壌における糸状菌と細菌のバイオマス
佐藤 輝瀬戸 昌之
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2000 年 54 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

東京都のいくつかの森林と農耕地の火山灰土壌(深さ0〜20cm)における糸状菌と細菌バイオマスを直接検鏡法によって測定した。直接検鏡法における土壌粒子の分散には超音波処理を,染色剤にはフェノリック・アニリン・ブルーを採用した。本法を採用することによって,滅菌土壌に添加した糸状菌と細菌の一種のバイオマスは,ほぼ100%回収された。本法で測定した微生物バイオマスは,クロロホルム燻蒸-抽出法の測定値とよく一致した。土壌中の糸状菌バイオマスは,森林(55〜107g C m^<-2>, 6地点)が農耕地(5.2〜31g C m^<-2>, 5地点)より大きかった。畑作圃場内の様々な処理区における糸状菌バイオマスは,堆肥・浅耕区の31g C m^<-2>,堆肥・深耕区の17g C m^<-2>,化学肥料・浅耕区の12g C m^<-2>および化学肥料・深耕区の8.7g C m^<-2>となった。糸状菌バイオマスに対する除草剤散布の影響は認められなかった。一方,土壌中の細菌バイオマスは,森林(7.5〜11g C m^<-2>, 6地点)と農耕地(5.0〜9.2g C m^<-2>, 5地点)でほとんど差がなく,畑作圃場内の様々な処理区においても5.4〜8.1g C m^<-2>とほぼ同じになった。糸状菌/細菌のバイオマス比は,森林で高く(5.5〜12),農耕地で低かった(1.0〜5.7)。また,このバイオマス比が,全微生物バイオマスの低下にともなって低くなる現象を明らかにした。

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