土と微生物
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肥効の高い堆厩肥の製造と新しい腐熟検定法
金澤 晋二郎
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2002 年 56 巻 1 号 p. 45-54

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抄録

我国の家畜糞尿の排出量は,生物系廃棄物の中で最大量を占めている。家畜糞尿の資源化を阻む問題点とそれを解決しなければならない課題について論じた。要約すれば以下のようになる。1)良質な堆肥を製造するためには各畜種の有機物の腐熟特性を熟知する必要がある。2)発酵熱を高めるためには,堆肥原料の熱量を考慮することが肝要である。3)発芽インデックス法は,家畜糞尿堆肥製造現場で使える簡便な堆肥の腐熟度判定法として有効な方法であった。発酵熱が低い場合,特に病原菌,寄生虫及び雑草種子の残存が懸念されるので,それらの簡便・迅速な検定法の開発が望まれる。4)家畜堆肥化で最も大切なことは,発酵熱(品温)を上げることにある。何故なら,発酵熱の上昇に伴ない反応速度が高まり,且つ病原菌・寄生虫・雑草フリーのクリーンな堆肥が製造できるからである。5)作物の養分吸収特性に対応した各家畜糞堆肥のブレンドにより肥料成分を調節した"ブレンド堆肥"が有効であることが示唆された。

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