土と微生物
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各地土壌からのOlpidium brassicaeの検出と分離菌のチューリップ微斑モザイクウイルス媒介能
守川 俊幸多賀 由美子
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2004 年 58 巻 1 号 p. 43-52

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抄録

O. brassicaeの分布を明らかにするため,国内の1道,1府,12県から73地点の耕地土壌(一部は植物根)を収集し,捕捉植物(ササゲ,マクワウリ,レタス,タバコ,野生エンバクまたはキャベツ)に接種して,O. byassicaeの寄生の有無を調査した。その結果,58地点の試料(供試試料の79%)において,いずれかの植物でO. byassicaeの寄生が観察された。本菌が検出された58地点のうち,ササゲでは55地点,マクワウリでは50地点の土壌で本菌が検出された。一方,レタスでは17地点の検出にとどまり,その他野生エンバク,キャベツ,タバコでの検出は極めて少なかった。なお,ササゲやマクワウリを用いて分離された菌の植物寄生性を調査したところ,レタスあるいはキャベツに対する寄生性の分化が認められた。次に,O. brassicaeのTMMMV媒介能を調査するため,49菌株(うち11菌株は単遊走子嚢分離株)をポットに植え付けたTMMMV感染チューリップにそれぞれ接種し,その周囲に健全チューリップ球根(検定株)を植え付けて,この検定株へのウイルス感染の有無を調査したところ,供試菌株の少なくとも40菌株が本ウイルスを媒介することが明らかになった。

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