土と微生物
Online ISSN : 2189-6518
Print ISSN : 0912-2184
ISSN-L : 0912-2184
高温コンポストにおける発酵初期の品温変化とミクロフローラの変動
矢部 修平吉田 直人進藤 斉角田 潔和葉坂 勝小泉 武夫
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 60 巻 2 号 p. 109-115

詳細
抄録
本研究では,衛生的なコンポストを生産するには発酵初期の急激な品温上昇が重要であると考え,良好に発酵が立ち上がる高温コンポスターのミクロフローラを把握することを目的とした。発酵初期の温度上昇に伴うミクロフローラの変化を経時的に解析した結果,深層から品温上昇が始まり,生菌数がほぼ一定であったにも関らず,44〜52℃(0〜4時間後)および72〜80℃(6〜20時間後)にかけてフローラが大きく変動した。この期間に原料由来の腸内細菌や大腸菌群は淘汰された。72℃から80℃(6〜20時間後)にかけての優占菌の変動を16S rDNAライブラリー法を用いて解析した結果,Bacillus属からGeobacillus属へ遷移することが明らかとなった。さらに発酵2日後には,表層から深層まで80℃以上に達し,表層と深層ではGeobacillus属,中層ではThermus属が優占した。このように,深度別に特徴的なフローラが形成された。このことから,200cmと深く堆積することにより好熱菌の多様性を高めていると推察した。
著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top