土と微生物
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水田土壌の細菌群集の構造と機能に及ぼす原生動物の影響(<特集>植物根圏の微生物・微小動物の機能と相互作用)
村瀬 潤
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2007 年 61 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

土壌中の物質代謝に直接関与するのは主に原核生物(細菌・古細菌)であるが,原生動物は捕食作用によって細菌群集に影響を与えている。湛水土壌は,水分ストレスからの開放という点で,原生動物にとって好適な環境の1つと考えられる。モデル実験の結果から,原生動物が水田土壌の細菌群集の構造と機能に与える影響を考察した。他の土壌での知見と同様,原生動物は捕食作用によって細菌バイオマスを抑える一方で,アンモニアを放出しており,水田土壌の肥沃性の一端を担うものと考えられた。また,土壌還元・硫酸還元の促進効果も認められた。さらに,原生動物の選択的捕食圧は細菌群集のShaping forceとなる。原生動物の影響は,好気的な土壌表層で特に顕著であり,水分ストレスに代わって酸素ストレスが原生動物の制限要因の1つになると考えられた。

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