2010 年 64 巻 1 号 p. 18-24
環境中の呼吸活性を持つ細菌を定量する方法に,5-cyano-2,3-ditolyl tetrazolium chloride (CTC)法がある。この方法では,呼吸鎖と共役して還元され細胞内に沈着したCTC-ホルマザン粒子を蛍光顕微鏡下で検出する。本研究では,全細菌を検出するSYBR Green I (SG)をCTCと併用したCTC-SG二重蛍光染色法(CTC-SG法)の土壌試料への適用を検討した。E. coliなど5種の新鮮培養細胞をCTC-SG法に供試すると,良好な染色性(全細胞の62〜95%)が認められた。このとき,CTC-ホルマザン粒子が1細胞上に複数個存在する場合や細胞外にも存在する場合が認められ,従来のCTC単染色法ではこれらも含めて計数されるため,1.2〜1.6倍過大評価となった。水田および畑土壌中のCTC-SG法による呼吸活性陽性細菌数は全菌数の10〜12%に相当し,培養可能な細菌数の1.5〜5.2倍であった。以上の結果から,CTC-SG法は,CTC単染色法の欠点を改善し,土壌中の呼吸活性を有する生きた細菌の定量に適用できることが示唆された。