土と微生物
Online ISSN : 2189-6518
Print ISSN : 0912-2184
ISSN-L : 0912-2184
青枯病菌Ralstonia solanacearum の 植物感染最初期過程における走化性の役割
緋田 安希子奥 正太田島 誉久加藤 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 72 巻 2 号 p. 84-89

詳細
抄録
 土壌伝播性の植物病原菌Ralstonia solanacearum は感染宿主の植物が植えられるとその根圏に移動して根の開口部から植物体内に侵入し,青枯病を発症する。この宿主植物への接近では走化性が重要な役割を果たしていると考えられていたが,それが実験的に証明されたのは21 世紀に入ってからであった。R. solanacearum は22 種類もの走化性センサーを有し,それらを駆使して効率的に植物感染を行っていると考えられるが,その分子機構がどのようになっているかは未だ不明である。分子機構の全体像を明らかにするためには,①それぞれの走化性センサーの走化性リガンドを明らかにする,②走化性センサー遺伝子変異株と親株の比較から生物相互作用に関与する走化性センサーを特定する,③様々な場面での走化性センサー遺伝子の発現パターンを明らかにする,ことが必要である。我々はR. solanacearum の走化性センサー遺伝子の変異株ライブラリーを構築してそれを解析することで,アミノ 酸,ジカルボン酸,リン酸,ホウ酸,マレイン酸の感知に関与する走化性センサーの特定に成功した。また特性化された走化性センサーの遺伝子破壊株を用いたトマト苗感染試験によりL-リンゴ酸走化性が植物感染に寄与することを初めて見出した。今後,走化性センサー遺伝子群の発現パターンを明らかにすること,また根圏局所における走化性の感染への寄与(例えば傷口の発見等)を解明することでR. solanacearumの走化性の植物感染最初期過程における役割を理解できると考えている。
著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top