お米は私たち日本人の主食であり,日本ではそのほとんどが水田で生産されている。水田土壌中に生息する微生物の 様々なはたらきがイネの健全な生育を支えている。窒素などの養分元素では,微生物は有機態から無機態への変換者として重要なはたらきを行っている。また,自らの体(微生物バイオマス)の中に窒素,リン,カリウムなどの養分を蓄え,それらを供給する役割を果たしている。水田が湛水されると作土の大部分は無酸素状態となり,発酵や嫌気呼吸といった微生物の代謝作用により土壌が還元的になる。湛水および土壌が還元化されることにより,有機物の蓄積,リンの可給化,土壌pH の中性化,さらに,田面水に生息するラン藻による窒素固定など,イネの生育に多くの利点がもたらされる。水田土壌中の微生物はイネの生育をまさに根元で支えているといえる。