土と微生物
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焼酎蒸留残液および化学合成殺菌剤による浸漬処理が ジャガイモの種イモ共存細菌叢に与える影響
竹腰 恵池永 誠富濱 毅野口 勝憲境 雅夫
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2022 年 76 巻 2 号 p. 68-76

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抄録
ジャガイモそうか病の種イモ伝染を防除するには,種イモ消毒による病原菌密度の低減が重要である。しかし種イモ消 毒はそうか病菌だけでなく,種イモに共存する多様な細菌叢にも影響を及ぼす可能性がある。現在一般的には化学合成殺菌剤が利用されているが,新たに焼酎蒸留残液を用いる種イモ消毒法が報告された。焼酎蒸留残液に浸漬した罹病種イモ表皮では,殺菌剤と同等に病原菌密度が低下し,種イモ伝染が抑制される(富濵ら,2018)。本論文では,焼酎蒸留残液と殺菌剤(フルアジナム)による種イモ消毒が,植付け後の種イモ表皮に共存する細菌叢に及ぼす影響を調査した。その結果,殺菌剤は広範囲の細菌群の増殖を抑制し,その中にはそうか病菌に対して拮抗作用を示し,かつ,種イモに優占的に共存するBacillus 属細菌も含まれた。種イモ表皮の共存細菌群の一部は新生塊茎へ移行するため,殺菌剤による種イモ消毒は次世代の種イモの細菌叢の変化および静菌作用の低下をも引き起こす危険性が推察される。一方,焼酎蒸留残液処理によって増殖が抑制される細菌群は認められず,連用によっても健全な種イモ細菌叢を維持しながら,そうか病の種イモ伝染を抑制できる可能性がある。
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