外科と代謝・栄養
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特  集
高齢者手術の周術期栄養管理における成績評価上の問題点
海堀 昌樹權 雅憲福島 亮治大村 健二
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2014 年 48 巻 4 号 p. 115-124

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抄録

 当科の肝細胞癌肝切除症例の術後短期および長期成績を非高齢者(75 歳未満;517例),高齢者(75 歳以上;59 例)および超高齢者(80 歳以上;24 例)にて比較検討したところ,術後合併症発生や術後生存期間は3 群間に有意差を認めなかった.これら差を認めなかった理由として術前肝機能は高齢者・超高齢者群が良好であり,手術適応選別において,すでにバイアスがかかったうえでの非高齢者との比較検討を行っていたからである.しかしこれら条件のよい高齢手術が順調に乗り越えられても,術後晩期にはFrailty(虚弱)やサルコペニアなどの栄養障害に陥る可能性が高い.肝癌肝切除に限らず高齢者では,すでに栄養障害が存在している可能性があり,正確な栄養評価を行う必要がある.高齢者の術後はADL やQOL を維持するように努めることが重要である.われわれは多職種連携による高齢患者個人に準じた総合機能評価を術前術後に行い,長期的な栄養管理と運動リハビリテーションを行っていくことが最重要であると考えている.

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© 2014 日本外科代謝栄養学会
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