外科と代謝・栄養
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臨床研究
消化器疾患術後創離開に対する局所陰圧閉鎖療法時の栄養管理の効果の検討
山本 慧山本 和義前田 栄植村 守三宅 正和濱 直樹西川 和宏宮本 敦史大宮 英泰宮崎 道彦池田 正孝平尾 素宏高見 康二中森 正二関本 貢嗣
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キーワード: NPWT, 創離開, 栄養
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2017 年 51 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

 術後創離開に対しNegative pressure wound therapy(以下NPWT)を施行中の栄養管理に関して検討した報告はいまだない.今回2012 年6 月から2015 年10 月の間に当院で施行した消化器手術後の創離開に対しNPWT を施行した33 症例をretrospective に解析し,背景因子や栄養摂取状況を比較することでNPWT 施行中の栄養管理を検討した.NPWT での治療期間の中央値は15 日(4-33 日)であり,これを境に治療期間が15 日以下の群を早期治癒群(n=18),16 日以上の群を治癒遷延群(n=15)と定義し2 群を比較した.年齢,性別,BMI,並存疾患,原疾患等両群間の背景因子に有意差は認めなかった.正中創離開の患者は有意に早期治癒群に多かった(16(88.9%)vs. 7(46.7%)例,p=0.020). 治療期間中の摂取栄養量については, 摂取エネルギー量(29.3 vs.24.6kcal/IBW・kg,p=0.12)および蛋白質量(1.1 vs. 0.9g/IBW・kg,p=0.08)で,早期治癒群で多い傾向にあった.NST 介入や栄養剤の併用を行った症例の割合は両群間で有意差は認めなかった.早期治癒群では治癒遷延群とくらべ摂取エネルギー量・蛋白質量ともに多い傾向にあったが,症例数が少なく,具体的な目標エネルギー量と蛋白質量のカットオフ値含めた理想的な栄養管理方法の検討にはさらに症例数の集積や前向き研究が必要である.

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© 2017 日本外科代謝栄養学会
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