高齢消化管癌患者に対する外科治療はリスクベネフィットバランスをもった治療選択が必要だが,鏡視下手術を含む手術手技や周術期管理の進歩により,近年その機会は増加している。しかし高齢者では,それぞれの癌の治療成績を踏まえた「体に優しい」安全な手術に加えて,physical(肉体的), mental(精神的), social(社会的)な支援が術後まで継続的に提供されてこそ,「心にも優しい」術後早期回復が可能になると思われる。そのためには,NST・精神科医・リハビリスタッフや医療ソーシャルワーカー,そして治療経験者(peer)などを含めた多職種連携とチーム医療の提供が必須である。「患者状態の改善」という成果にこだわるESSENSE の理念は,高齢者に対する消化管癌外科治療を行ううえで是非念頭に置くべき重要な方法論である。