外科と代謝・栄養
Online ISSN : 2187-5154
Print ISSN : 0389-5564
ISSN-L : 0389-5564
原著(臨床研究)
食道癌手術における経腸栄養チューブアクセスルートの検討
北川 博之横田 啓一郎並川 努花﨑 和弘
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 56 巻 4 号 p. 139-145

詳細
抄録

背景: 食道癌手術における空腸瘻は早期経腸栄養のアクセスルートとして有用であるが, 腸閉塞の原因となりうる. 空腸瘻と十二指腸瘻の腸瘻起因性腸閉塞と術後体重変化に与える影響を検討する.
対象と方法: 2013年3月から2020年11月に食道癌に対して胸腔鏡下食道切除術, 胃管再建を施行した109例の患者背景, 手術成績, 術後合併症, 腸瘻起因性腸閉塞, 術後1, 3, 6, 12カ月後の体重を, 空腸瘻群74例と十二指腸瘻群35例に分類して比較した. 結果: 十二指腸瘻群は空腸瘻群に比べて術前化学療法 (45.7% vs. 78.4%; P=0.001) と出血量 (150mL vs. 120mL; P=0.046) が少なかった. 腸瘻起因性腸閉塞は12例が空腸瘻群に生じた. 十二指腸瘻群は術後1カ月後の体重減少率が空腸瘻群より有意に小さかった (93.9% vs. 91.8%; P=0.039).
結語: 食道癌手術において十二指腸瘻は空腸瘻に比べて手術時間を延長することなく腸瘻起因性腸閉塞を防止し, 術後早期の体重減少を抑制し得ることが示唆された.

著者関連情報
© 日本外科代謝栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top