外科と代謝・栄養
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原著(臨床研究)
TG2018胆嚢炎診断と術前PNI,CONUTによる術後合併症の影響評価
浦部 和秀田原 浩藤本 三喜夫三好 信和上村 健一郎髙橋 信也末田 泰二郎
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2022 年 56 巻 4 号 p. 146-154

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抄録

背景: 胆嚢炎に対する術前のPNI, CONUTの評価と術後合併症との関連性は報告がなく不明確である. われわれはTG2018に沿った重症度診断, CCI・ASA‐PSによるリスク評価や, PNI, CONUTを含めた臨床因子と術後合併症発症との関連性を検討した.
結果: 対象は胆嚢炎の診断に対し手術を施行した67例 (腹腔鏡下60例[腹腔鏡完遂42例, 開腹移行18例], 開腹7例). Clavien‐Dindo GradeⅢ以上の術後合併症 (9例) 発症は, 術前PNI≧40の高PNI群に対しPNI<40の低PNI群で有意に多く (22% v.s. 78%, p=0.038) , 術前CONUT score≦4 (normalおよびlight) の低CONUT群に対しCONUT score≧5 (moderateおよびsevere) の高CONUT群で有意に多かった (33% v.s. 67%, p=0.043). 在院死亡症例 (2例) と術前因子の関連性について, 有意差は認めなかったが全例がPNI<40のPNI低値群だった. 術前のBMI, アルブミン値, 総リンパ球数, 総コレステロール値についてはClavien‐Dindo Ⅲ以上術後合併症・在院死亡ともに有意な関連性を認めなかった.
結語:胆嚢炎の術後合併症発症の予測に術前のPNIおよびCONUTの評価は有用である可能性が示唆された.

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© 日本外科代謝栄養学会
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