外科と代謝・栄養
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症例報告
補助栄養と段階的栄養管理介入を駆使して治療を支えたフルニエ壊疽の1例
坂神 裕子辻 恵理伊藤 奈緒子
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2023 年 57 巻 4 号 p. 135-143

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抄録

 フルニエ壊疽は外陰部を中心に発症する壊死性筋膜炎と定義されている.今回フルニエ壊疽を発症した患者に対し, 外科的治療と併行して栄養補助食品を用いた栄養管理介入を行い, 良好な経過が得られた1例を経験したので報告する.
 症例は41歳男性.フルニエ壊疽に対し, 開放ドレナージとデブリードマン, 人工肛門造設術を施行した.術後早期からの栄養介入と, 創傷治療過程に応じて4段階に分けた栄養管理を行った.第1段階では感染リスクの制御とし抗炎症作用のあるDHA・EPA含有の消化態栄養剤を開始し, 第2段階では蛋白同化を企図して, 創傷治癒に有用なHMB配合飲料を追加した.第3段階では創部の肉芽形成に必要な蛋白合成を目的とし至適エネルギー量の倍以上を投与した.第4段階では上皮組織の合成に関与するコラーゲンペプチド含有飲料を投与した.病態や治療過程に応じた段階的な栄養管理により, 植皮も良好に生着し有効な治癒促進効果を得ることができた.

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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