外科と代謝・栄養
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特集 「術後早期のDREAM達成を目指して」
リハビリテーションから見た早期離床の注意点や工夫点
内村  公亮
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2023 年 57 巻 5 号 p. 154-157

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抄録

 近年, 医療技術の進歩により高齢者やサルコペニアやフレイルといった虚弱体質の患者に対しても安全に手術を行うことが可能になってきた. 術後の不必要な安静は筋力低下や肺換気機能障害など廃用症候群を助長し日常生活動作 (ADL) の低下や入院期間の長期化をもたらす.ERAS® (Enhanced Recovery After Surgery : 術後回復の強化) が提唱されてから開腹術後の早期離床が注目されるようになった. 廃用症候群の進行を防ぎADLを維持するなど有益な影響をもたらすことがわかってきており高く推奨されている. しかし術後の患者は疼痛コントロールや循環動態, 呼吸管理などあらゆる面で注意が必要となる. 早期離床における中止基準や予測される有害事象を把握することで安全に離床を進めることができる. またリハビリテーション以外の時間は吸気努力訓練機の使用や自主練習指導を行うことで他職種でも指導がしやすい. 術前よりプレハビリテーションとして身体機能の向上や術前オリエンテーションを実施することにより離床を早めADLや生活の質 (QOL) の維持を期待することができる.

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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