抄録
初期,強度に乾燥した粗粒土壌に対し,地表面への継続的な水分供給を行うと,供給フラックスの値が土壌の飽和透水係数より小さな条件下において,流れは不安定化し,フィンガー流などの選択流を引き起こす可能性が報告されている.本研究では,4 種類の土壌に対し,流れが不安定化する条件下で 1 次元の散水実験を行い,圧力の時間的な変化を測定した.その結果,時間的,空間的に負の圧力勾配を明確に観測できたのは,鳥取砂丘砂だけであった.その圧力の時間的変化は,測定圧力の最大値を動的な水侵入圧として,(1) 式でうまく表現することができた.また,圧力の時間勾配は (4) 式で与えられ,供給フラックスの 2 次関数で表されたが,砂の実測値はこの式にほぼ適合しており,フラックスが小さくなるにつれ,流れが安定化していくことが分かった.