抄録
土壌の気相率と通気係数の関係はヒステリシスを示すことが知られており,封入空気が原因の一つと考えられている.しかし,封入空気の影響の特定には至っていない.過去に提案された音響測定法によって,全気相率と連続気相率の関係を求め,封入空気量を評価することが可能となった.本研究では,連続気相率と通気係数の関係を明らかにし,通気性のヒステリシスにおける封入空気の影響を特定することを目的とした.鳥取砂丘砂を 50 cm3 円筒容器に充填し,排水過程と吸水過程において段階的に音響測定を行った.その結果,封入空気は吸水過程の全気相率 10 ∼ 15 % の範囲で生じ,この全気相率範囲において,通気係数は主に連続気相率だけで決まることが分かった.また,全気相率 15 % 以上では,封入空気は存在しないため,空気の連続性がヒステリシスの主要因と考えられる.