国内の農耕地における主なリンの化学形態は, 酸化状態においては活性 Al または Fe に収着したリンである.若い火山灰土壌または花崗岩質土壌にはアパタイトが含まれるが,火山灰土壌では活性 Al の生成に伴い活性 Al と反応する.国内の農耕地土壌を黒ボク土と低地土に大別すれば,施肥されたリンは,黒ボク土では活性 Al に収着するのに対して,低地土では活性 Fe に収着する.結晶性のリン酸塩であるビビアナイトは湛水–還元条件下にある低地土の水田作土で生成するが,落水–酸化条件では溶解し,リン酸イオンは活性 Fe に収着する.他の結晶性リン酸塩も生成するが,やや特殊な条件である.