抄録
粘土質水田の排水の研究は機械化農業の推進のために 1960 年代後半に行われた.田淵の論文は中干し期と刈り取り期の田面状況の詳細な観察に基づいて行われた.地耐力の増加に結びつく田面の乾燥は蒸発散によって行われること,浸透は粗孔隙を通して行われること,地表残水を少なくし乾燥を早めるには田面の均平が重要であること,代掻きを行った土の排水によって生じる沈下は刈り取り期の亀裂の発生を促進することなどを明らかにした.根岸らの研究でも田面の乾燥は蒸発散により生じることや浸透に寄与する粗孔隙の重要性を指摘している.そして,粗孔隙を人為的に作出し,保全することが排水改良に不可欠であるという考えを追求した結果が組み合わせ暗渠という排水技術に結びついた.