土壌の物理性
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土壌•堆積物の一酸化二窒素還元活性
吉田 尚弘山崎 岳
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1992 年 65 巻 p. 21-28

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抄録
岩手県大槌川水系に沿って,森林土壌から湾内堆積物にいたる土壌•堆積物試料を採取し,1SNで標識をつけた一酸化二窒素(N2O)を用いて,地球温暖化とオゾン層の消長に重要な役割を果たすN2Oの還元活性を測定した。いずれの土壌•堆積物も髙い還元活性を示し,もっとも高い活性を示したのは嫌気的な部位の卓越する河口の堆積物であった。湾内の堆積物コア試料についてN2O還元活性の鉛直分布を調べたところ,亜表層の堆積物が,堆積物中の間隙水のN2O濃度の上昇を抑制していることが明らかにされた。N2Oの還元活性と硝酸の還元活性の間には非常によい相関があり,これを利用することですでに数多く研究されている硝酸還元活性の見積もりから地球規模の還元によるN2O消滅星を推定することが可能になると思われる。一方,N2OとN2Oに関わる化合物について窒素と酸素の安定同位体比を指標とする研究はN2〇の地球化学的循環を理解するための有効なアプローチである。安定同位体による研究とフラックスの測定により得られた知見の重ね合わせを通して,N2Oの地球化学的循環の全体像が明らかにされると考えられる。
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© 1992 土壌物理学会
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