土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
塩分を含んだ灌漑水が土壌水分保持特性, 土壌乾燥ストレスに与える影響
アハマッド M.M.安富 六郎加藤 誠
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1996 年 75 巻 p. 23-30

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抄録
土壌の水分ポテンシャル特性曲線は土壌の作物に対する有効水分量を知るために看要である。実験はpF値が毛管と浸透圧ポテンシャルの和で表されると考え,塩分水を含ませた砂壌七のpF曲線を描いた。実験作物には水分ストレスを見るためにコマツナを用いた。コマツナ作物に対する上壌乾燥の実験には塩水処理した浸透圧を含む砂質土の標準水分保持曲線を描いた後に,温度25°C,湿度70%の成育栽培用のファイトトロンを利用した。潅漑の都度,上壌塩分量は增大して十壌内水分浸透圧成分の増大を招く。塩分濃度が増大するに従い,浸透圧成分が増大し,蒸発散速度は低下する。潅漑水の塩分濃度が増せばpFも増大するが,これは作物細胞が有する水分ポテンシァルと土壌水分ポテンシアルとの差が少なくなり吸水量も減少するためである。塩水潅漑における潅漑水の浸透圧ポテンシァルは令上壌水負圧増加の大部分を占め,作物のしおれ点にも関係している。実験の結果,次のことが分かった。pFによる土壌の水分管理には土壌•水分•作物系としての新しい見方が必要であり,乾燥地および半乾燥地の塩性土壌の開発には毛符ポテンシァルと浸透ポテンシャルを考慮したpF値の概念の導入が望ましいことを示した。
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© 1996 土壌物理学会
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