抄録
牛スラリー施用が上壌の物理性に与える影響のうち,団粒形成にっいての検討は少なく,団粒形成因子としての牛スラリーの役割を明らかにする必要がある.本研究では,その基礎実験として,植物根や上壌生物の影響のないケイ砂培地に濃度の異なるスラリーを投ザし,力学的な試験によってケイ砂粒了-の結合の強さを求めた. ケイ砂粒子の結合の強さは,スラリーとケイ砂の混合体を風乾後,一軸圧縮試験とスレーキング試験から検討した.スラリーとケイ砂の混合体の力学的な特徴を次に示す.
① 風乾処理によりスラリー中の有機物がケイ砂粒子を接着して固結する.
② スラリーの全蒸発残留物濃度の增加にともない一軸圧縮強さは增加する.
③ 24時間の静水中への浸漬においてスレーキング耐性を示す.
④ 再湿潤処理後の一軸圧縮強さは,風乾時の半分以下に弱まる.
以上の結果から,スラリー屮に含まれる有機物は,ケイ砂粒子間の接着物質として作用し,湿潤乾燥の繰り返しにより耐水性団粒を形成する可能性を持つと考えられる.