1994 年 10 巻 1 号 p. 7-16
大腸手術患者のQuality of Life(QOL)を評価する質問票を作製するため89症例に対して調査を行った。この調査結果をもとに大腸手術患者に対するQOL質問票(暫定案)を作製した。この質問票は因子分析で5因子を抽出し多元的な要素を持つ質問票であることが示され,また信頼性の検討をした結果,α係数が0.86と高い信頼性が得られた。次にこの質問票の得点の標準化をおこない,高い,普通,低いの3段階評価が行えるようにした。さらにQOLについて人工肛門の有無と経時的変化について検討し,有意差はなかったが各因子について人工肛門患者の方がQOLが低い傾向を認めた。しかし排尿,排便に関する因子では逆に人工肛門患者の方が術後に高くなる傾向を示した。